2016-01-01から1年間の記事一覧

総括2016年の文化(後編・上)

ここで今年日本で作られたテレビドラマに目を向けることにしよう。結論を先取りして言うなら、さまざまなジャンルが花開いているように見えるドラマ界は、市場社会におけるアイデンティティーの強調という傾向にますます収斂している。 『ゆとりですがなにか…

総括2016年の文化(中編)

2016年の夏はポケモンGOとリオオリンピックの夏でもあった。7月22日に日本でサービス開始されたポケモンGOは、スマートフォンの中の日常の風景に違和感なくポケモンを溶け込ませポケモン世代を熱狂させた。約1ヶ月後、8月21日のリオ五輪閉会…

総括2016年の文化(前編)

都市に対する郊外の、ホワイトカラーに対するブルーカラーの勝利―世界史的には、イギリスEU脱退(6月)とドナルド・トランプ合衆国大統領誕生(11月)を決定して先進国内部の格差を浮き彫りにした2つの選挙で記憶されるだろう今年は、日本にとってはど…

第5回天上天下唯我独奇書読書会開催のお知らせ

< etml:lang=ja > < README > まず、わたしの企画から説明せねばなるまい。 必要なのは、何をおいてもまず、奇書だ。 こんばんは、Nicoです。次回奇書読書会は第2シーズン1周年のアニバーサリー会となります。内容も、第4回『薔薇の名前』で出てきたホー…

第4回天上天下唯我独奇書読書会のお知らせ

奇書だ、当然のことながら。 全国4000万の奇書ファンのみなさま、こんばんは、Nicoです。来る土曜日、先日亡くなった奇書作家を追悼する意味も込め、いよいよ「あの」本を取り上げて奇書読書会を行うこととなりました。深夜課の真っただ中ですがしばし告…

匣はもう開いている ―『匣の中の失楽』論

【本稿には、『匣の中の失楽』の真相に触れた記述があります!未読の方は読了後お読み下さい。ページ数は講談社文庫『新装版 匣の中の失楽』に基づきます。】 言語哲学者ジョン・サールに「中国語の部屋」と題する奇妙な思考実験がある。人工知能を人間と見…

B級映画は君に語りかける(2)-『激突!』

『激突!』と人間の条件 「僕ら二人で、どこへともなく乗っていく / 誰かが必死に稼いだ金を使いながら」 ― The Beatles, “Two of us” 「ディーンは路上(ロード)の人間だった」 ― Jack Kerouac, On The Road 『激突!(Duel)』はドライブ中に巨大なトレー…

第3回天上天下唯我独奇書読書会開催のお知らせ

第3回天上天下唯我独奇書読書会開催のお知らせ こんばんはNicoです。日曜昼、東京は本郷で第3回奇書会を開くことをここにお知らせします。第1回『匣の中の失楽』、第2回『アラビアの夜の種族』に継ぐ第三奇書は、これ(ら)だ!! 第3回天上天下唯我独…

「瞑想&独走」

瞑想(メイソウ) & 独走(ディクソウ) ―ビッチンガー牧師日本遠征私記 「これを見ると一層あの時代が、―あの江戸とも東京ともつかない、夜と晝とを一つにしたやうな時代が、ありありと眼の前に浮んで来るやうじやありませんか。」(芥川龍之介「開化の良人」…

『匣』再読のしおり(続き)

<四章>(※真沼は失踪、雛子両親死亡) 1 ナイルズ・ホランド・曳間・根戸・羽仁・布瀬・影山@新宿御苑 8/16(木) 『密』三章まで朗読される(700枚以上) 2 甲斐・曳間@甲斐の部屋 甲斐、死体となった杏子の油絵を描いている。『密』の意図をめぐって …

『匣』再読のしおり

竹本健治『匣の中の失楽』(1978)内容整理 * 重大なネタバレを含みます!読了後にお読みください!! * 人物は原則として各場面登場順に記載、時刻は24時間制に変換して表記しています。 <序章> 1 曳間の独白 不連続線 2 根戸・真沼 既視感 3 倉野・…